★Kansas カンザス州
みなさん、こんにちは。もう11月ですね。早いもので今年も残すところあと2か月となりました。今回は、アメリカの真ん中に位置し、アメリカのへそと呼ばれるカンザス州をご紹介します。グレートプレーンズにあるカンザス州は土地が平坦で、山がまったくありません。限りなく広がる大草原がカンザスの魅力の一つと言われています。穀倉地帯の中心であるため、小麦、トウモロコシ、大豆などの生産性が高く、牧畜業も盛んです。
1854年に制定されたカンザス・ネブラスカ法をご存知でしょうか。アメリカではかつて北緯36度30分より北に奴隷州の成立を認めないとするミズーリ協定が定められていましたが、カンザスとネブラスカの両準州の成立を認めこの2州ではミズーリ協定を撤廃し、奴隷制を認めるか否かを両州の住民の選択に任せることに決めたのがこの法律です。南部では新しい準州に奴隷制を拡げることができ、北部では州内で奴隷制を廃止する権利があるために、この法律は北部と南部の関係を緩和するために制定されました。しかしこれにより、奴隷制の拡大を恐れる人々は共和党を結成し、実質的に南北の対立をより深める結果となりました。住民に選択権が与えられたことにより、カンザスには奴隷制に反対派の北部と賛成派の南部の両方から多くの人々が移住し1854年から1861年まで南北の衝突が続きました。この期間は「Bleeding Kansas(血を流すカンザス)」と呼ばれ、南北戦争のきっかけの一つとなりました。
「血を流すカンザス」と聞くと、恐ろしい場所なのかと思われてしまうかもしれませんが、カンザス州はオズの魔法使いの主人公ドロシーの故郷としても知られています。カンザスでよく発生する竜巻によってドロシーはオズの世界へ飛ばされてしまいます。オズの魔法使いの中の「Toto, I’ve a feeling we’re not in Kansas anymore.」というセリフから、「not in Kansas anymore」という慣用句表現が生まれました。これは「もはや、穏やかで安心できる環境ではない」という意味で使われます。言い換えれば、カンザスは穏やかで安心できる場所であるということになりますね。ボランティア精神あふれる州第1位に選ばれたこともあるカンザスは、田舎のイメージで語られることが多い州ではありますが、心優しい人々が集まる、穏やかな場所であるようです。