★Kentucky ケンタッキー州
アメリカの州は英語で「State of ○○」ですが、50州のうち4つだけ、「Commonwealth of ○○」と公称している州があります。マサチューセッツ、ペンシルバニア、バージニア、そして今回のコラムの主役、ケンタッキー州です。さて問題です。世界的ファストフードチェーン、ケンタッキーフライドチキンの発祥の地はケンタッキー州である。○か×か?……………答えは○です!その名の通りですね。だからといって養鶏が全米1位というわけではありません(1位はジョージア州)。
ケンタッキー州は一見中西部に見えますが、アメリカ合衆国国勢調査局の分類では南部に属します。元々バージニア州の一部でしたが、1792年にアメリカ合衆国15番目の州として昇格しました。奴隷解放の父、リンカーンの生誕地としても知られています。
ケンタッキー州はBlueglassという牧草が生い茂る地で、「Blueglass State(牧草の州)」の愛称で親しまれています。競争馬の生産が盛んな州で、毎年5月には1875年から一度も中止されることなく行われている歴史あるレース「ケンタッキーダービー」が、州の最大都市ルイビルにて行われます。優勝した馬にはバラのレイがかけられることから、「Run for the Roses」とも呼ばれ、レースは「The Most Exciting Two Minutes in Sports(スポーツの中で最も偉大な2分間)」ともたとえられる非常に人気のあるスポーツイベントです。競馬は古くから紳士・淑女のスポーツとされており、観客は男女ともに正装、女性は派手な帽子を被って参加することが慣習となっています。この帽子も見どころのひとつです!
また、バーボン(ウイスキーの一種)の生産でも有名で、世界に出回っているバーボンウイスキーの95%がケンタッキー州で生産されています。ケンタッキー州には州の人口(約430万人)より多くのバーボン樽があると言われており、今生産をストップしても向こう20年は十分な量のバーボンウイスキーが確保できるとか…。
そんなウイスキーで有名なケンタッキー州ですが、アメリカには「禁酒郡 (dry county)」という、お酒の販売を禁止または制約している郡があるのをご存知ですか?日本では都道府県の下に市町村がありますが、アメリカでは州の下に郡があり、続いて市町村があります。1920~1933年の禁酒法の時代の後も法を改定していない郡が禁酒郡で、中南部の州に多く存在しています。ケンタッキー州にも多く存在し、120ある郡の38郡が酒類の販売を禁止しており、49郡が酒類販売に関して何かしらの制約があります。自由にお酒を売買できるwet countyは残りの33郡のみとなっています。dry countyに住む人がお酒を買うには、わざわざwet countyまで出向かなければなりません。州の名産品を州内で購入することができない地域があるなんて驚きです。
ケンタッキー州は競馬やウイスキーと、なんだか大人の香りのする州ですね。中高生の皆さんが大人になったら是非ケンタッキー州を訪れてみてくださいね!