★New York ニューヨーク州
今回はアメリカで最も人気のある観光地の1つ、ニューヨーク州を紹介します。「ニューヨーク」ときくと、マンハッタンのイメージが強いためか「大都会!」と思う方が多いようです。実はマンハッタンのあるNew York City (以下NYC)の面積はニューヨーク州全体の0.56%しかないにも関わらず、なんと州全体の人口のうち4割以上(約855万人)がそのエリアに住んでいるため都会の印象が強いのです。しかもアメリカの50州のうちNYCより人口が多い州は10州しかありません。NYCはアメリカ国内で最も人口密度が高い市ですが、州全体だとニューヨーク州の人口密度は50州中7位です。
1626年にオランダ人が先住民から約1,000ドル(現在の通貨に換算)で購入した土地がニューヨークの始まりです。はじめはニューアムステルダムとよばれており、毛皮貿易のためにマンハッタンの南端に植民地を作りました。1664年にイギリスのヨーク公の支配下になった際にニューヨークに改名されました。独立戦争でかなりの被害を受けましたが、1789年から1年間ニューヨークがアメリカの首都だったこともあり、初代大統領ジョージ・ワシントンの就任式はニューヨークで行われました。
1800年代以降世界各国からの移民によって多様化が進んだため、1890年代にニューヨーク湾内にあるエリス島に移民局が設置され、約60年間の間に1,700万人近くの移民がエリス島から入国しました。ニューヨーク州内で話されている言語は約800ともいわれ、現在でもニューヨーク州に暮らしている人の37%はアメリカ出身ではありません。
エリス島から入国した移民たちにとって新天地の象徴となったのが自由の女神像です。自由の女神像はアメリカの独立100周年を記念し、フランス人の募金によって贈呈されました。自由の女神像が手に持っているたいまつと銘板は有名ですが、実は足元を見ると引きちぎられた鎖と足かせを女神像が踏みつけており、自由と民主主義の象徴ともなっています。像の内部には展望台があり、エレベーターの最上階から364段の螺旋階段を上ると、女神の王冠部分からの景色が見られます。
2001年9月11日におきた同時多発テロのため展望台は8年間閉鎖されていましたが、2009年の独立記念日に再開されました。同時多発テロの跡地にはOne World Trade Centerという1,776 feet (約541m)の西半球で最も高い超高層ビルが建てられました。1,776 feetという数字はアメリカ独立の年にちなんでいます。地下には商業施設もありますが、もちろんツインタワー跡地の慰霊場もあります。
政治の中心である国際連合本部や金融の中心であるニューヨーク証券取引所、また世界的に有名なブロードウェイもNYC内に位置していますが、州都はマンハッタンではありません。州都はNYCから230km離れたオールバニで、政治だけでなく高度教育や福祉医療の街としても注目を集めています。NYC・ロングアイランド以外の州内はアップステート・ニューヨークと呼ばれていますが、ハドソン川や五大湖の1つであるエリー湖、冬季オリンピックが二度開催されたレイク・プラシッドなど自然に溢れています。北米で最も規模が大きいナイアガラの滝もアメリカ側はニューヨーク州に位置しています。ニューヨークと聞くと高層ビルだらけの都会をイメージしがちですが、もし旅行の機会があれば是非アップステート・ニューヨークも併せて行ってみてくださいね。