11月20日(日)、保護者の方を対象に「YGCグローバル講演会」を実施しました。アメリカより、名門ボーディングスクールのフィリップス・エクセター・アカデミーにて19年間教鞭を執ってきた田沢佳代子先生をお招きし、アメリカのエリート教育現場についての講演や、卒業生とのパネルディスカッションを行いました。
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日米の教育から見る子どもの将来像
アメリカの教育では、”4C:Critical Thinking(批判的思考)、Communication(意思疎通)、Collaboration(協力)、Creativity(創造性)”に重きを置いています。アメリカの最難関ボーディングスクールの一つであるフィリップス・エクセター・アカデミーの授業では、すべての授業においてハークネス法が実践されており、12名程度の生徒と1名の教員がハークネス・テーブルという楕円形のテーブルを囲み、討論形式で進められます。
例えば、数学では公式を覚えるのではなく、実生活に基づいた問題を解いていくのが特徴的です。田沢先生はある問題を例にあげて説明をしてくださいました。
“ガソリンスタンドに行くのに、舗装された平坦な道では距離が長くガソリンが足りない。近道のでこぼこ道では燃費が悪くなってしまう。一番効率よくガソリンスタンドに行くにはどのルートか。”
生徒一人ひとりが意見を出し合い、”4C”を活用して解を導き出すとのことです。
日本の教育の良いところはたくさんありますが、田沢先生は”Collaboration”以外が不足しているのではないかと指摘し、”4C”を意識しながら学習する重要性を強調されました。また、日本の教育の改善点として、「テクノロジーの活用」と「子どもの自立」を挙げられました。アメリカでは小学生の頃からパソコンを使った宿題が課せられるそうです。パソコンの使用が当たり前となったこの時代、家庭でも子どもの頃からパソコンを与え、使いこなせるようにすることが必須だと述べられました。また、自立心を育むためにキャンプに行かせたり、留学をさせたりすることの重要性を語っていただきました。
パネルディスカッション
次に、フィリップス・エクセター・アカデミーの卒業生で、来年の9月からブラウン大学に進学する桑名浩行さんが加わり、SAPIX YOZEMI GROUPの高宮共同代表進行のもとパネルディスカッションが行われました。
桑名さんは、寮での生活の様子や、授業の様子などの体験談を交えながら、多文化の中で生活していくうえで、対応力が身についたと話してくれました。
最後に、桑名さんから日本の学生に伝えたいことを尋ねると、「常に『Why?』と問いかけることが大切です。例えばただの暗記でも、自分に合った暗記の仕方はどのようなものかなど、どんなことでもいかに効率的に学習できるかを追求することで学習力が上がると思います。また、興味を持ったことにはとにかくチャレンジしてみることをお勧めします。」とアドバイスされました。
また、田沢先生からは保護者に向けたメッセージとして「皆さまが最終的にお子様に何を望むのかを考えたときに、レベルの高い学校に入学することではなく、お子様自身が幸せになることを望んでいるかと思います。そのためには過保護に育てるのではなく、小さな失敗をいくつもさせて自分自身で乗り越えていく力をつけてあげることが大切だと思います。」と締めくくりました。
ユーモアあふれる田沢先生のお話に時折笑いが起きるなど、楽しいイベントとなりました。実際にアメリカで教鞭を執っている先生のお話や卒業生の体験談など聞くことができ、貴重な機会となったのではないでしょうか。
参加者の声
- 留学をより身近なものに感じることができました。
- 日本の子供たちの将来に必要なスキルを身につけるために、海外留学する必要性を改めて考えさせられました。
- 授業内容など具体例を交えたお話で分かりやすかったです。数学についての考え方も親として学ばせていただきました。
- 「多文化への理解=個々人を認める」ということに改めて気づかされました。
- 卒業生の方がとてもわかりやすく説明してくれたので、学生生活について理解できました。
- ぜひ生徒にも聞かせたい内容でしたので、機会があれば同様の企画をお願いします。
講演終了後には、田沢先生へのたくさんのご質問をいただきました。皆さまのご質問にはHPで随時お答えしていく予定です。