アメリカ名門大学の学費と Need-Blind Admission
一般的にアイビーリーグのような名門大学は、低所得者層の学生の進学者数が少ないことで知られています。そのため、そういった大学の中にはNeed-Blind Admission*1 を採用し、必要な学生に対して十分な経済的支援ができるよう措置を講じているところもあります。
コロナ禍においては、元々潤沢な資金を保有していた大学が、さらに裕福になったと言われています。The Wall Street Journalでも、「Large College Endowments(アメリカの大学のうち、特に多額の運用資産を保有する大学)は昨年、過去10年間で最高額の投資利益を得た」と報じられました*2。例えばアイビーリーグの一端を担うYale大学は、310億ドルを超える運用資産を保有しています。そしてその額とは対照的に、低所得者層の学生の受け入れ数が少ないと批判を浴びてきました。
しかしその一方でYale大学は、Need-Blind Admission を採用し、そのうえ合格した学生に経済的援助が必要であれば、それを100%カバーしてくれる数少ない大学の一つでもあります。またそのカバー範囲は、比較的高所得者層の学生まで対象としています。大学によっては、Need-Blind Admissionを採用しているだけで、不足分の学費はカバーされないというケースもあります。その場合、経済的援助を必要とする学生が大学に合格しても、彼らは結局ローンを組むなどして学費を工面しなければなりません。そう考えると、Yale大学の学生が実際に負担する学費は、他大学よりも手頃であるという見方もできます。
留学生に対しても、アメリカ国内の学生と平等にNeed-Blind Admission を採用し、かつ不足分の学費を100%カバーしてくれる名門大学は、他にも複数あります。もちろん合格するのは狭き門となりますが、挑戦してみる価値は十分にあると言えるでしょう。
*2Juliet Chung, Eliot Brown, “University Endowments Mint Billions in Golden Era of Venture Capital”, The Wall Street Journal, Sept. 29, 2021