英国大学出願ポータルUCAS、Personal Statement を刷新予定
イギリスの大学への出願手続きは、The Universities and Colleges Application Service (UCAS) というサイトを通してオンラインで行います。2023年1月この UCAS が、出願書類のうち Personal Statement を将来的に大幅にリニューアルすると発表しました。Personal Statement とは志望動機書のことで、現行のものは、志望する学部を選んだ理由を4,000語で説明する自由記述形式です。Personal Statement には、学業成績からは読み取れない受験生の熱意やポテンシャルを大学側に伝えるという大切な役割がありますが、一方で、4,000語という長文の作成作業が受験生にとって大きな負担になっているという問題もありました。また、UCAS は今回のリニューアルに至った理由として、Personal Statement を作成する上で、周囲からのサポートを得られる受験生とそうでない受験生との格差が広がっているという現状も挙げています。イギリスの高校では、公立校の生徒は私立校の生徒に比べて十分なサポートが得られにくいという傾向があります。
そのような格差を是正した上で、受験生の成績以外の情報を引き出すための方策として、Personal Statement を4,000語の自由記述から設問形式に変更する案が発表されています。設問形式にすることで、大学側が受験生のどのような情報を必要としているのかを明確にする意図があるようです。質問内容についてはまだ検討が続いていますが、現段階で確定項目とされているのは以下の3つです。
- 志望学部に対するモチベーションについて -なぜこの学部を選んだのか
- 志望学部への準備について(学業) -志望学部に向けてどのような学習を行ったのか
- 志望学部への準備について(その他) -志望学部に向けてどのような準備(経験)をしたのか
当初は上記の他に、「大学側が酌量すべき受験生の状況について」、「大学生活への準備について」、「希望する学習方法、評価方法について」も項目の候補として挙がっていましたが、酌量すべき状況については、それ専用の記入欄を別に設けるべきであるという理由から、他の2つは漠然とした回答しか得られないのではないかという懸念から、いずれも質問項目からは外されることとなりました。質問内容については現在も引き続き協議されていますので、今後も動向を見守る必要があります。
なお、上記のリニューアルは最短で2025年秋の出願から導入される予定です。2024年中の出願を予定している方は、現行の形式で Personal Statement を作成する必要があるので注意しましょう。将来的に長文の Personal Statement が姿を消すとはいえ、確定している質問項目を見る限り、出願に向けての自己分析や、志望大学・学部への熱意を的確に言葉に落とし込むことの重要性が変わることは無さそうです。