マサチューセッツ工科大学 年収3000万円まで授業料免除に
マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)は、2025年度秋学期より、年収20万ドル(約3000万円)未満の世帯出身の学生の授業料を免除することを発表しました。アメリカの場合、全世帯の80%が年収20万ドル未満に該当するため、多くの学部生が恩恵を受けられる見込みです。さらに、世帯年収が10万ドル (約1550万円) 未満であれば、授業料だけでなく住居費や食費なども免除となり、教科書代や小遣い程度の給付金も与えられます。年収10万ドル未満にはアメリカの全世帯の50%が該当します。2024年度までは、授業料免除の基準額は世帯年収14万ドル (約2170万円) 未満、授業料以外の出費も全免除となる基準額は世帯年収7万5000ドル (約1160万円) 未満であったため、2025年度より対象が大幅に拡大されることになります。この免除規定は、アメリカ国内の学生だけでなく留学生に対しても適用されます。
MITがこうした措置を取れるのは、卒業生等からの寄付金をもとにした「エンダウメント」と呼ばれる基金からの収入が潤沢にあるためです。MITの基金の規模は245億ドルにのぼり、これは大学の全体収入のうち実に37%を占めています。サリー・コーンブルス学長はMITを目指す学生に向けて「費用は障壁ではないと思ってほしい」と呼びかけています。また、入学・学生財政サービス部長のステュー・シュミル氏も、「MITは、科学・テクノロジーを中心とした教育に関心を持つ全米で最も優秀な学生にとって、卓越した進学先であるべきだ。また、出身家庭の経済状況に左右されることなく、優秀な学生が入学できる大学であるべきだと考えている。」と述べています。
アメリカ国内の学生に限らず留学生に対しても Need-Blind Admission* を採用し、かつ合格者には必要な費用を全面的に支給する大学は、非常に少ないのが現状です。具体的には下記の9校で、MITもそのうちの1つです。
大学 | ランキング (US News 2025) |
学費援助の平均額 (米ドル/年) |
2024年度の授業料 (米ドル/年) |
---|---|---|---|
プリンストン大学 | 1 | 62,200 | 59,710 |
マサチューセッツ工科大学 | 2 | 27,000 – 76,825 | 60,156 |
ハーバード大学 | 3 | 84,400 | 59,076 |
イェール大学 | 5 | 28,700-84,200 | 64,700 |
ブラウン大学 | 13 | 49,830 | 68,230 |
ダートマス大学 | 15 | 非公開 | 65,511 |
ノートルダム大学 | 18 | 21,800-79,900 | 62,693 |
アマースト大学 | 2 (リベラルアーツカレッジ) |
68,000 | 67,280 |
ボウディン大学 | 5 (リベラルアーツカレッジ) |
69,000 | 64,910 |
学費についての心配が不要になることはもちろん大きなメリットです。ただ、上記の免除措置を受けるためには、自分の経済状況をあらかじめ正確に申請しておかなければなりません。申請に際しては、保護者の収入明細書や残高証明書、投資記録やローンの書類など様々な資料が必要となります。また、一部の書類は英訳して送付することも求められます。これらの作業を他の出願準備と並行して行うことになるため、保護者の方の協力と、十分な時間的余裕が不可欠です。
MITをはじめアメリカの大学を目指す方は、志望大学が留学生に対してどのような奨学金を提供しているのか、申請を行う場合はどのような書類が必要なのかを調べることから始めましょう。
MIT News 「Undergraduates with family income below $200,000 can expect to attend MIT tuition-free starting in 2025」 参照日:2024年12月14日
MIT Student Financial Services 「Apply for aid: International students」 参照日:2024年12月14日
日本経済新聞 「米MIT、年収3000万円まで学費免除 優秀な学生確保へ」 参照日:2024年12月14日
VnExpress 「9 top US universities offer need-blind admissions for international students」 参照日:2024年12月14日