2024年度からのケンブリッジ大学入試改革
主に英国大学受験の際に必要となる適性検査を作成・提供しているCambridge Assessment Admissions Testing (ケンブリッジ大学内の非営利組織、以下CAAT) は、2024年度より、BMAT(生物医学)、ENGAA(工学)、NSAA(自然科学)、TMUA(数学)の各試験の廃止を発表しました。
CAATは廃止の理由として、これらの試験の作成作業が非常に煩雑であること、それゆえ学生や高等教育機関に手頃な価格で提供することが難しいという実状を挙げています。運営面でも経済面でも、今後中長期的にこれらの試験を提供し続けることは不可能である、という判断が下された形です。CAATの広報は、「CAATとして優先するべきことは、学生を混乱させないこと、そして高等教育機関に対して、代替措置を準備するための十分な時間を設けることです*1」と述べています。
ケンブリッジ大学では現在、一部の学部の入試でENGAA(工学)、NSAA(自然科学)、TMUA(数学)を面接前の選考に使用しています。試験廃止による混乱を最小限に抑えるため、既に代替措置が検討されています。また、現在入試でBMAT(生物医学)を使用している英国内の7つの医学部(Cambridge, Brighton and Sussex, Imperial, Lancaster, UCL, Leeds, Oxford)や、同じくBMATを使用しているハンガリー、スペイン、クロアチアなどの他国の医学部も、代替措置を講じる予定です。
今回の件について、ケンブリッジ大学の広報担当者は次のように述べています。「2022年度および2023年度の入試方式が直ちに変更されるわけではありません。2024年度以降の変更内容についても、事前に明確に告知します。我々は代替措置へスムーズに移行することを重視しています。また、我々は入試の公平性・透明性を保つべく常に努力しており、あらゆるバックグラウンドを持つ学生がケンブリッジ大学に出願・入学できるよう、今後も努力を続けます。*2」
上記の通り、今回の変更は2024年度からのものであり、2023年度入試については例年通りの方法で行われます。また、PAT、MAT、ELATなどオックスフォード大学が作成・提供する試験については、2024年度以降も継続して実施される予定です。ケンブリッジ大学をはじめとする英国大学、特に理系の学部を志望する生徒は、必要以上に慌てることのないように、今後の動向を注視しておく必要があるでしょう。