SAT® 試験のデジタル化
前回の記事に続いて、今回は米国大学出願でスコアを提出する人が多い SAT® (大学進学適性試験) についてご紹介します。本記事のタイトル通り、これまでペーパーテスト型だった SAT® がデジタル化?と疑問を持たれた方が多いかと思います。今回はデジタル化による変更点や移行の経緯についてご紹介いたします。
SAT® を運営する College Board は、2022年1月に SAT® をデジタル化することを発表しました。米国国外では2023年3月から、米国では2024年の春からデジタルテストへ移行する予定です。
昨年11月、College Board はデジタルテストを試験的に運用。その結果、教育関係者の100%が肯定的な意見を表明、受験生の約80%がストレスを軽減できると回答*したことから、デジタルテストの運用に踏み切ったようです。
デジタルテストを受験する際は、受験生自身のノートパソコン・タブレット、もしくは学校 (受験会場) から貸し出されるデバイスを使用することができます。受験会場にデバイスの設置がない場合は、試験当日に主催者側 (College Board) からデバイスを借りることもできます。デジタルテストへ移行と謳っているものの、従来通りの会場受験型に変更はありません。
さらに、デジタルテストへ移行後は、試験時間が3時間から2時間に短縮。Reading (読解問題) の文章が短くなり、より幅広いトピックから出題されます。また、Math (数学) の全セクションで計算機を使用しながら受験することが可能となるため、これまでのペーパーテスト形式と比べて受験生の負担を軽減できるものとなるでしょう。
College Board の大学進学適性評価担当 副社長 Priscilla Rodriguez 氏は、「デジタルテストは、受験しやすく、実施しやすく、より(能力評価に)適したテストになる」と述べています*。試験全体の短縮、オンライン形式への対応など、教育関係者や学生のニーズに応えることで、近年の「テスト・オプショナル」ポリシーの導入に伴う SAT® の受験離れを抑える狙いがあるのでしょう。
※「テスト・オプショナル」ポリシーの導入について、ご興味のある方は本コラム第1回目の記事もぜひご覧ください。【海外進学情報・第1回】新型コロナウィルスが大学入学者選抜にもたらした影響とは?